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~ 歌詞でよむ初音ミク 4 ~ アンドロメダの夢

不可能に向かって飛びだした旅

タグはミクノポップ。ミクさんの無私的な優しさがよく出ていています。天文学的にはうまく当てはまらない部分もあるので、割りきってミクさん本人を当てはめてファンタジーとして考えてみようと思いました。曲・詞ともにSmileRさんです。

 

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一人で泣いているペルセウス銀河にある星を想って、アンドロメダ銀河から飛び出したミクさん。

 

アンドロメダ銀河から、無数の銀河をまたいでその彼方まででも届けたいと思うくらいの「溢れ出す想い」に駆られて、「君が泣いてたら行かなくちゃ」と探しに行きます。

 

ただし「行かなくちゃ」「飛び立つの」という言葉は、単に自分のロマンチックな感情の高ぶりではありません。「悲劇なんて恐れない」という言葉も、ぬるいヒロイックな決意ではありません。

 

2番の末尾から明らかになるのは、それが不可能な旅だということ。彼女はそれを知っているのです。

 

「荒れる小惑星に邪魔されて 君を見失う」ミクさんは、月面(惑星の地表)に不時着し、ボロボロになっていきます。

 

ところがなおも溢れ出す想い。ふたたび君の待つ星へ飛び立つも、しかしついには「暗闇の果てで 輝いて燃え尽きるこの体」――。「もう二度と会えない、君の悲しみは癒せない」という断末魔のような叫びには胸を打つものがあります。

 

思えば、何万光年も離れた場所から目印として送られる光自体、その星の現在はもっと先の時間に進んでしまっているわけで、「君に近づくほど君は見えなく」なるような二人の世界は、初めから矛盾だらけだったのかもしれません。

 

それでも彼女が最後に歌うのは、「たとえ悲劇でも、君が泣いてたら行かなくちゃ」。だからこれは、いつでも君のそばに駆けつけるよといった甘い台詞ではなく、不可能と知りつつ飛び出していく悲壮な覚悟のことだと思うのです。

 

その無私と、そして無力さにミクさん自身の存在が重なって愛おしく感じるのでした。

 

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