~ 歌詞でよむ初音ミク 6 ~ 君にもらったラブレターを目の前で破り捨てました
ラブレターって何の役に立つんだろう?
タグはありませんが、「素朴なミクうた」あたりかと思います。楽しそうに跳ねたミクさんの歌い方からは想像もできない内容が、ある意味サイコパスでホラーな作品。曲・詞ともに、かーこさんです。
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冒頭から、彼女は有無を言わせません。
「君にもらったラブレターを目の前で破り捨てました」。
それですべておわり。普通ならば。
ですがこの歌はここから始まります。
彼女はありとあらゆる手段で、一連のラブレターを処分していくのです。
まずは焼き払い。よく燃えた、と嬉しそうに報告しています。
それでは満足できなかったのか、何かの役に立たないか考えます。
無慈悲なのか、ある種の優しさなのか、どちらにせよ彼女が考えた結果、
そのラブレターで「愛犬のお尻拭きました」。ショッキングな報告です。
しかしそれでも役には立っています。
ところがさらに「フリーマーケットで売りました」。
愛犬ならまだ情がありますが、赤の他人です。
しかも「売れませんでした」とのこと。もう他人の役にも立ちません。
そして極めつけは「とりあえず廊下に貼りました」。
これには意味すらありません。
「とりあえず」と言うとおり、全く意味のない晒し上げです。
もはやこのラブレターには「有用性」をまるごと否定しています。
さすがにまずいと思ったのか、彼女は最後に「近所のおばちゃん」にあげます。
するとおばちゃんは「鼻かんでました」。
あぁ役に立ってよかった・・・と妙な温かみを感じてしまったら、すでに感情が麻痺している証拠だと思います。
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なぜこんなことをするのでしょうか?
「君」への恨みや憎しみがあった、というなら多少なりとも腑に落ちるのですが、
単純に「素直になれない」から、と言う彼女にはこちらも混乱せずにはいられません。
しかも恐ろしいのは、後半でポロッと明らかになるように、
彼女がラブレターの中身をそもそも読んでいないという衝撃の事実。
純粋さが他人を傷つけるとはまさにこのことですが、夜なべしてせっせと書いたラブレターが、読まれることもなく次々と処分されていることを報告される男の子は、どんな気持ちなのでしょうか。
ただし、彼女は「ドキドキしすぎて死んじゃうから」中身が見れない、と言っています。理解に苦しむところですが、彼女は好意を持っているのです。
だとしたら、彼女の言いたいことは、ラブレターなんて何の役にも立たない、そんなものをちまちま送りつづけるより正々堂々とアプローチしてきてほしい、ということなのかもしれません。
・・・だったらいいのですが。