~ 歌詞でよむ初音ミク 11 ~ 放課後ちょこかっぷ
「チョコカップ」って何のこと?
今週のお題「バレンタインデー」というのがあったので。VOCAJAZZタグのおしゃれポップな可愛い曲。歌詞は王道、に見えてちょっと不思議です。曲は ちえPさん、詞はリョータイさん。
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バレンタインの放課後、「あなた」を待つ学生のミクさん。
「デザートにケーキはいかが?」と言うように、渡すのはおそらくチョコの「カップケーキ」(チョコカップ)のようです。
ただし「靴箱に手紙」といった控えめな手段はとれません。「無駄にオープン」な作りの靴箱では、手紙を置いてもすぐ他の子にバレてしまいます。
それなら「そうだ 待ち伏せよ」と言って、直接わたすことにした彼女。
掃除当番までサボって、靴箱の周りでうろうろ待つことに。
ドキドキと胸は高まって、そこはさながら「下駄箱アトラクション」。
カサ置き場までお洒落にイルミネーションされているような気がしてきて、
遊園地の定番「コーヒーカップ」ならぬ、「チョコレートカップ」(ショコラ用のカップ)で夜中まで一緒に目を回すことを夢見ています。
わざわざ「チョコレートカップ」を望むのは、コーヒーじゃ「砂糖を入れても 苦さばかりが回るから」。
ドキドキとした淡い一場面だけを切りとった、というのであれば
十分ここまでで成立しているのですが、最後のサビでさらっと様子が変わります。
光あざやかな遊園地とは裏腹に、「徐々になくなる靴」。
「この待ち時間はいつまで?」と問うミクさん。
けっきょく、下駄箱の遊園地に夕陽が射してきても、当の「あなた」は一向に現われないのでした。
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――そうなるとちょっと話がちがってくるような気がします。
最後の「あなた“も”溶けたの?」は何を意味しているのでしょうか。
ほかに溶けるものは出てきません。
とすれば、もしかして「チョコレートカップ」とは、そのまま言葉どおりチョコで出来たカップのことを歌っていたのかもしれません。甘い恋の象徴が溶けてしまったような。
「チョコカップ」とは、分かるようで分からない多義的な言葉です。
好きな人にチョコのカップケーキを渡し、コーヒーカップよりもずっと甘いチョコレートカップのような恋に目を回したいという幻想が、チョコレートで出来たカップみたいに溶けていった・・・。そんなつながりをタイトルから考えてみるのも面白いと思います。
ちなみにOSTERさんのビッグバンド風アレンジに付された、すももPさんのイラストでは、チョコで出来たカップがイメージされています。まんざらでもないかも、ですね。