~ 歌詞でよむ初音ミク 116 ~ *オパンティングソング*
愛ゆえに積もるパンツへの嫉妬
「仕事を選べないミク」タグが付いています。まったり系ロックな曲調からは予想もできない歌詞に笑ってしまいますが、中立的なミクさんの声もあって、ネタと切なさの絶妙な中間点を感じさせてくれます。曲・詞ともにアナバさん。
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「僕」の目の前には「君の縞々のパンツ」がありました。
「どういう経路で何故ここにあるのか」は分からない。
・・・とシラを切っていますが、「その詳細は控えたい」と言っているあたり、この人やっちゃってます。
証拠はないけれど、というか証拠なんか出せないけれど、
「僕」には分かるのです。「これは君が履いた パンツ」だと。
「今は誰も履いていないただの縞々のパンツ」ですが、
すこし前には、「君が履いていたはずの縞々のパンツ」だったんだと考えてみると、
彼のこころには喜びがこみ上げてきて、
「摘んで」、「振り回して」、「頭に被る」くらい、はしゃぎ回るのでした。
いてもたっても居られなくなった彼は、
おもむろにそのパンツを履いてみます。
しかし、男の子である彼は、
そのパンツを履いても「はみ出し」てしまったのです。
そして「はみ出てる」状態で立ち尽くすまま、
彼の瞳からは「涙」がふと落ちたのでした。
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ものすごく叙情的な口調なのに、ミスマッチな内容で、
人間のアイドル歌手と比べてその自由さについつい笑っちゃうのですが、
それにしても最後のほうに出てくる「涙」は意外な展開です。
それは、歓喜の涙なのでしょうか?
あるいは罪の意識からくる苦悶の涙なのでしょうか?
どっちだとしても面白いのですが、わたしはちょっと別のことを思いました。
「君の」パンツにこだわる彼は、どちらかというと真っ当な (真っ当じゃないけど)、
“愛が高ぶりすぎて、愛する人の一部が欲しくなる” という感情に近いと思います。
それが手に入ったのですから、最初は喜ぶのが当たり前。
そしてそれを自分も履くことで、
こころもからだも擬似的に ”結ばれた” 気になる・・・はずでした。
ところが「はみ出した」のです。
この縞々のパンツは、彼女のためのものであって、「僕」のためではありません。
「はみ出した」という言葉には、そんな疎外感も感じられないでしょうか。
じじつ、「僕」はパンツになりたがります。
「その縞々の一つになって ぱつんぱつんに引き伸ばされたい」。
「君が隠したがってる物も 僕が包み込む」「全部受け止めるよ」、と。
でもそれはパンツの仕事なのです。「僕」ではなく。
だから彼が流したのは、縞々のパンツへの ”嫉妬の涙” のような気もするのです。
なんだか単なる下着泥棒よりもさらに危ない感じになってきましたが、
愛ゆえに彼女のパンツを恋敵にしてしまうなんて、なんだかすごく詩的かもしれません。