~ 歌詞でよむ初音ミク 134 ~ あしたはトゥモロー

同じことの繰り返し、だけどちょっとずつ違う

「みんなのミクうた」タグ。まったりでのんびりしたミクさんの日常が、ラテンな曲調によって可愛くかつ渋い感じに仕上げられています。曲・詞ともにリアキーノさん。

 

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彼女はぐうたらガール。

 

「昨日おぼえたことが今日はもう忘れてる」し、

「昨日決めたことが今日はもう守れない」ような女の子。

 

といっても、ちゃんと出社してるし仕事もやってるのですが、

朝から頭が重たくて、昼過ぎからずっと帰る時間のことを考えています。

 

定時まで「あと4時間」「あと2時間」・・・。

 

すぐに終わってしまった日曜日を恨みながら、

日曜日が遠すぎる月曜日にもっと辟易してしまう彼女。

 

だけどそんなことを考えているうちに、

なんだか面倒くさかった今日の出来事も忘れちゃって、

「夕方になれば不思議とすっかり元気になるはず」と思えてくるのでした。

 

そして今日も帰宅の路につくころには、

「きっとステキな」明日が「まってる」ような気がするのです。

 

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「あしたはトゥモロー」というのは、

言うまでもなく、同じ言葉を繰り返すトートロジー(同語反復)です。

 

いっぱんに、同じ意味のことばを繰り返すのは無意味であって、

バカバカしい印象を与える効果があるし、ときには批判されたりもします。

 

でも彼女は、ほんの少し言い換えをしています。

「あした」は「トゥモロー」だと言うのですから。

 

それは彼女の毎日のようです。

たしかに彼女の「エブリデイ」は、だるだるで同じことの繰り返しですが、

だけど、「あした」が「トゥモロー」に変わるくらいには、ちょっとずつ違うのかもしれません。

 

そうやって同じようでちょっとずつ違う日々を楽しんで生きていけるのは、

彼女が“忘れる”ことができるからではないでしょうか。

 

「昨日おぼえたことが今日はもう忘れてる」というのは、

一見ぐうたらな表現でもあるけれど、

 

それが転じて「未来を生きるための助走」になっていくあたりに、

ゆるーい感動が隠されてるのだと思います。