~ 歌詞でよむ初音ミク 145 ~ 好き!雪!本気マジック!

可愛さのなかに隠された仕掛け

SNOW MIKUの第一回テーマソング (2014)。ですが今では、クリスマスや冬全体のテーマソングのようにも受け入れられて、MMDや踊ってみたでも定番の曲となっています。今年の雪ミク2017もすごく楽しそうなので、忙しくて行けないけどうらやましいです。曲・詞ともにMitchie Mさんです。

 

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「ツンと冷たい季節」を迎えて、

「雪の汽車」が駆けぬけていくのは、雪化粧された「白銀の」街。

 

それは、彼女にとって、

”いつか「君」にもおしえてあげたい私のおうち” 

(”This is my home I’ll let you know”)だったのです。

 

もしも君に「元気」がなくても、「悩み」を抱えていても、

「今日の寒さも忘れるよう」な「呪文」を唱えてあげる――。

 

そう言って、彼女は魔法のことばをかけました。

 

すると、まるで「子供」のきもちになったように、

その街が「なまらファンタスティック」な雪のマジックにかかっていきます。

 

それは「絵本みたいな景色」でした。

 

クリームを「Whip(ホイップ)」して泡立てたケーキみたいな雪のじゅうたん、

空からは真っ白の「紙吹雪(コンフェッティ)」や、

さらには冬の祭典(フェスタ)を祝うような「天使の羽」が舞い降り、

雪の街は、「オーロラ色」のような鮮やかさで「ライトアップ」されて・・・。

 

そして、ミクさんは歌います。

「子供」のきもちになれたら、そこが「Dream Land」に変わっていくこと。

だから「大人のふりなんて いいじゃん!」、と。

 

だとすると、彼女が魔法をかけたのは、

雪の街そのものというより、「君」の心のほうだったのかもしれません。

 

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この曲でなによりも素敵だなと思うところは、

雪の街を前にした "比喩" のあれこれが、

よく考えてみると、どれもバラバラの系統だということです。

 

ホイップケーキは ”お菓子”、コンフェッティは  ”祭式” や ”結婚式”、

天使の羽は “宗教”、”自然現象” のオーロラに、”動物” のウサギなどなど。

 

ふつうなら、たとえば「雪の街がホイップケーキみたい」と感じたら、

すみずみまでケーキやお菓子の比喩で一貫させていってしまいがちです。

 

ところがこの曲では、

いろんな系統のイメージがおもちゃ箱のように詰まっています。

 

つまり、単に比喩がいろいろあるだけじゃなく、

そもそもジャンルのちがう比喩が、次々に出てくるわけです。 

 

そう考えると、比喩がバラバラなことって、

それ自体が、子供の新鮮で自由奔放なイメージのようにも思えてきませんか?

 

もしも逆に、比喩のジャンルが統一されていて、

全部お菓子づくりの「パウダーシュガー」とか「アラザン」で例えていたら、

可愛いけど整いすぎて、こじんまりした感じになってしまう気がします。

 

そういうわけで、

この曲の「子供」のようなワクワクやウキウキした可愛さは、

音楽的にはもちろんのこと、歌詞の仕掛けにも隠されているのではないでしょうか。