~ 歌詞でよむ初音ミク 153 ~ Meaningless
意味がないことに救われる
「お洒落なミクうた」タグ。ベースの響きと乾いたドラムがかっこよくて気持ちいい音楽。ひょうひょうと冷めた歌詞をうたうミクさんですが、じめじめした暗さはありません。曲・詞ともに、RT-G.o.B.Sさんです。
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「時計は午前0時」を指しました。
「新しい日のスタート」です。
「午前3時」なんて、みんな「夢の中でゆらゆら」。
夜のあいだは、すやすや眠って、
「午前の6時 “今日”が始まる」という不思議。
それは「僕たちが決めたルール」なのです。
あっという間に、お昼になって「時計はもう12時」。
「疑わずいる秩序」のなか。
「午後の3時の日差し」はちょっとだるだるしくて、
「ゆらゆら」してるうちにも時間は過ぎ、
「午後6時には日差しが落ちる」。
やがておうちに帰って、ご飯を食べて、
お風呂を上がったら、髪を乾かしながら寝る準備をして、
そうこうしているうちに、
「次の午前0時 “明日”が始まる」のです。
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もちろん色んな生活スタイルはありますが、
こうしてなんとなく多くの人が従って生きている時間は、
勝手に「僕たちが決めたルール」です。
たしかに、"日の出" と "日没" が基準になっているのに、
当の「お日様は知らない」まま、って考えると面白いですよね。
だけど、そんな細かく刻まれた時間ルールを、
意味もなく目的もなく押し流していくのも、また「時間」です。
「僕たちだけが従って」束縛されているのに、
同時に「僕たちだけが救われている」という矛盾めいた時間のあり方。
時間が過ぎることで、忘れることで、
「常に変わりゆく世界に」「変わらない時間進む」おかげで、
痛みや悲しみから救われることもあるんだと思います。
そう考えてみると、タイトルや歌詞の、
「時間に意味なんてないのさ」という言葉は、
あんまり悲観的じゃないのかもしれません。
ひょうひょうと歌うミクさんは、
せかせかして決まりきったわたしたちの時間を底から支えている、
そんな「無意味」としての時間の流れを淡々と見つめているのでしょうか。