~ 歌詞でよむ初音ミク 170 ~ マインドイブ
ミクさんは犯罪者?
不気味な重低音とピコピコ音が混ざった曲調。流れるように乱高下する疾走感がかっこいい作品です。曲・詞ともに絶海さんです。
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どうも犯罪をおかしてしまったようなミクさん。
血が飛び散るように「吹っ飛んで咲いた赤い花」が
目の前にずっと「焼き付いて」いて。
ところが彼女は、
「あの日」に自分が起こしたことを、
「ずっと曖昧に」「現実逃避」して、
「はぐらかして」「一人で何も見ないで塞いでいる」ようです。
たまたまの事故だったのかな?とも思うのですが、
「感情論」で説明がつかない、「追いつかない」ような
「衝動」「本能」があったと歌っています。
彼女は「半狂乱」の「悪魔」になろうとしている・・・
その紛れもない事実を直視していくプロセスではないでしょうか。
このまま悪魔の「手を取って」しまえば、
彼女は人間の理性や常識の「彼方へ」行ってしまうのです。
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水無月さんの見事な動画では、
2つの人格に分裂して描いてくれています(この三白眼ミクさんかわいい)。
でも歌詞上だと、明確な区別がありません。
区別がないのでなおさら、
「はぁ。」とタメ息をついて、人間として苦しんでいた彼女自身が、
だんだん「!」マークを増やして、「悪魔」みたいに苦しまなくなっていく様子が、
とっても不気味で、素敵だと思うんです。
心(マインド)の臨界点を越えてしまうのはもうすぐ。
彼女はその前夜(イブ)にいるのかもしれません。
人間じゃないミクさんが歌うことによって、
人間が歌うよりも、もうすでにどっぷり「彼方」へ踏み入れちゃっていませんか?
「もういっか。」と、「冷めきった心」で。