~ 歌詞でよむ初音ミク 181 ~ だからパンを焼いたんだ

主食でも、お菓子でもあるということ

疾走感のあるかわいいロックにのせて、ミクさんがパンを熱く語ってくれる作品。どうつながっていくんだろうとワクワクするところも魅力の一つです。曲・詞ともに、あわのあゆむ さん。

 

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外回りに追われ、安定を求めるサラリーマン。

オシャレ疲れして、素のままでいたいと願う女子高生。

 

一人ぼっちでも寂しくないと強がる鍵っ子。

死んでもいいと思える曲は、まだ作れていないというミュージシャン。

 

「理想の自分」はあるものの、

「夢なんて見れない」

「つつましい毎日」です。

 

でも「答えなんてない」けれど、

「何かをやらずにいられなかった」。

 

パンが食べたかったミクさんは、

時間もかかるし、不器用な形だけど、

自分でパンをつくることにしたのでした。

 

それで、もしも上手く焼けて、

誰かが「おいしい」って言ってくれたら、

それが幸せだと思う、と。

 

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誰かのために何かを「つくること」を、

「パン」になぞらえてミクさんが歌ってくれています。

 

ところで、「パン」は、

主食にもなるし、お菓子にもなります。

 

かたちもトッピングも

自分の好きなようにつくることができて、

 

その結果、命を救うこともあるし、

あくまで小さな楽しみだったりもします。

 

自分のためでもあり、

それが他人のためにもなるかもしれないということ。

 

この曲が歌う「つくる」ことのささやかな幸せは、

いろんな自由なかたちがあって、押しつけがましくなくて、

そんな「パン」だからこそ描けたのかもしれません。