~ 歌詞でよむ初音ミク 199-203 ~ ゴーストジェラシー / dance / おにぎり / Division / またおきた

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12年目に入ったミクさん!

去年もライブやイベントに大忙しなのでした。

なんだかまた一段と人気者になってきている感じも嬉しいですね(*´▽`*)

 

それでは、ここ最近で歌詞が気になったミク曲を紹介していきます!

(何回かに分けて上げます) 

 

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199. ゴーストジェラシー(すず さん)

「気づいてほしい」「見て見て」 と異常な承認欲求で訴えてくるミクさん。でもゴーストだからか、いくら見つめても「あなたは気づかない」まま。どうやら「忌み子」だったミクさんは、「大きな愛情」をもらっていたと「記憶の改竄」をしながら、「ふらふら」「ゆらゆら」と錯乱して「溶けていく」のでした。とびきり甘い調声のミクさんは、ふつうならキュートな曲に合うのですが、この曲ではむしろ自閉的な雰囲気を醸し出しているのが面白いところです。

 

200. dance(8 1/6 さん)

ダンスフルでコード進行がすごく気持ちいいのですが、歌詞は短くて悲観的でシニカルです。「他人の心の奥底を覗いてみたい」「大空を飛んでみたい」、でも「決して届かないことや叶わないことは分かっている」・・・という逡巡。不可能なのに求めてしまって、PVの映像と同じように、叶わぬ欲望がぐるぐるとループしています。なんでこの歌詞のタイトルが『dance』なのでしょうか?もしかするとダンスと同じように、その足踏みをつづけるループ自体が表現になっていくのかも、なんて思ったりしています。

 

201. おにぎり(Rio.T さん)

やさしくてかわいいメロディーに思わずほっこりしてしまう一曲。大好きなおにぎりの描写(つつむこと、海苔の音、頬張って食べること)を通じてミクさんが歌うのは、いろんな具材の「多様性」と、でもみんな同じおにぎりであるという「つながり」です。面白いと思ったのは、ぜんぶまぜこぜにしちゃう "丼" じゃなくて、それぞれ別々のおにぎりだということ。同じお米でつながっているけれど、各々は独立しててバラバラでもある・・・このゆるーいつながり方ってちょっと大人で素敵な考え方だと思いませんか?

 

202. Division(Twinfield さん)

溶けていく、消えていく、流れていく、飛んでいく・・・。「別れ」という主題のもと、さまざまな象徴的イメージが歌われています。でも単なる一時的なお別れではありません。「寄せては返す」波の音とはちがって、「君」とは決定的な別れだったと気づく・・・という内容になっています。「日が沈む」と、火傷したあとの皮膚のように「街は爛(ただ)れて」いった、という素敵な表現も出てきますが、音楽的にはこんなに透き通っているのに「僕」の傷跡はじゅくじゅくにえぐれているという対比にも注目してみてほしいです。

 

203. またおきた(Yumuta さん)

カセットテープに録音した曲を公園で流す、という遊び心たっぷりの作品。少しこもった「カセットミク」ちゃんの声に、生活音や鳥のさえずりが混じっていて癒されるし、じつは歌詞もとっても可愛いのです。恥ずかしがり屋な彼女は、「君」のことが好きだけど、「会いたかった」とか「寂しかった」とか、まして「キスをして」なんて絶対言えません。なんとなく両想いっぽいのですが、ちゃんとした告白はまだみたいです。だからタイトルの「またおきた」というのも、じつは心のなかでこっそり「またおきたね」と語りかけているだけかもしれません。そう思って聴くと、なおさら健気でかわいいです!

 

(つづく)