~ 歌詞でよむ初音ミク 213-217 ~ morse / スタッカート・ピチカート / ageha / レイジー・クルーズ / 白鳥

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ミクさんはMMDのルーツだけあって、

MMDモデルも多いし、海外のモデラーさんも多いです。

 

で、海外の方が改変したミクさんを見ていると、

わりと瞳のテクスチャだけはいじってて(整形ではなくw)、

なぜかハイライトが強めになってることが多いです。

 

このメイドミクさん(moyionmaさん)も、

ベースのTdaミクさんよりちょっとハイライトが強くなっています。

「青い目」ってことなのかなぁ?とか、不思議ですよね。

 

それでは、つづきいきます!

  

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213. morse(歩く人 さん)

遠い宇宙のどこかの星、何十年もそこで暮らしている「僕」が歌っています。近くを通るのは空に浮かんでは消える衛星ぐらい。望遠鏡を覗けば、80億人がうごめく地球が浮かんでいて・・・。でも「僕」が待っているのは、そういったものじゃなく、どこか知らないところからやってくる「小惑星みたいなもの」でした。なにか「分かんないものだけ」、ぼんやりと「光っているものだけ」を求めていたいのです。これだけでもファンタジーな情景をしっかり想像させてくれるのですが、さらに "かつて" 「僕」は6畳の小さな部屋で1000万人の大都市に埋もれて「同じ気持ち」を抱えていたのでした。今のわたしたちの身近な現実が、曲の中では遠い過去としてつながっていく瞬間、わーっと歌詞の世界に惹きこまれるのです。

 

214. スタッカート・ピチカート(あさぬこ さん)

ミクノポップでカラフルなイラスト、そしてこのタイトル。てっきりぴょんぴょん可愛さ満点の歌詞かと思いきや、じつは予想外なことに「お別れ」の歌。つまり「スタッカート」も「ピチカート」も "途切れ途切れ" の象徴なのです。一つの線でつながらなくなった(ただの音でしかなくなり音楽にならなくなってしまった)という二人の関係性は、けっきょく最後まで修復されないというのも意外なほどドライです。ただし、同じ音(同じ人間)であるかぎり、たとえ音楽にならなくなっても、お互いに忘れていったとしても、恋愛ではない形でつながっているのかもなんてことを感じさせてもくれます。そういう意味で、「終わりだけがお揃い」という歌詞はとても深い表現だと思います。

 

215. ageha(john さん)

水商売か、もしかすると風俗で働いているミクさん。「有象無象」の誰でもいい「貴方」(客)たちに、利用されるだけの日々を送っています。白いシーツにはシミが残り、キモい声、そして「拘り(こだわり)のない愛だらけ」にまみれて、「私の愛を汚す」のでした。「不快」な気持ちを抑えながら、だけど心の底では「わかってよ!」と叫んでいます。"夜の蝶" なんて呼ばれることもある職業ですが、考えてみるとたしかにアゲハチョウの羽の模様は、華やかで鮮やかなようでいてグロテスクでもあります。その禍々しい模様は、一方でお客さんを誘惑して引き寄せながら、他方では決して「飼いならされない様に」睨みつけてもいるのでしょうか。 

 

216. レイジー・クルーズ(ねこむら さん)

「輪郭はとろけて」掴みどころがなく、「わがままに賽を投げ」るように気まぐれな「きみ」。そんな人に惹かれてしまったせいで、「ふたり溺れるゆめ」に引きずり込まれて、時間はもう「巻き戻せない」のでした。途中に挟まれるねこむらさんとミクさんのお洒落に牽制しあう会話は、まさにお互いが近づいては逃げるようなとらえどころの無さを感じさせます。だからこの「ふたり」は、ミッドナイトの海で「いつまでも降ろされない錨」のようにだらだらとクルーズをつづけながら、お互いの関係にどんな答えも出さないままその場に「緩(ゆら)い」、そこで「歪(ゆが)み」つつ「茹(ゆだ)り」ゆくのだと思います。言葉の色気がたっぷりで、海なのに泥沼のような素敵な作品です。

 

217. 白鳥(たま さん)

春の淡い淡い情景、もやもやとくぐもった霧のなか水面をスワンボートがたゆたっている湖上の叙情的な場面・・・そんなイメージをぼんやりと浮かべるかもしれませんが、最後はそのボートに「火をつけて」しまうという、ショッキングな流れになっています。よく聴いてみると、霧中から旅立とうとしてる「僕ら」は、「羽を描いては消し」続けていて、「飛べなくて」「流されてゆく」という焦りのような、苛立ちのような足掻きが歌われています。そこから抜け出すためには、スワンボートに火をつけるような、あるいは「花びらには銃を」といったある種の暴力的なイメージの出会いが必要だったのかもしれません。純潔の象徴であるスワンに、不穏な影がちらつくところにぞくぞくとした美しさを感じるのでした。