~ 歌詞でよむ初音ミク 172 ~ 十七才

 

大人に未来なんて教えられたくない

大人の矛盾が許せなくて、でも自分の体も心も同じように大人になりつつある十七才。あおくさいけれど純粋な、リアルな苦い感情がひりひりと伝わってきます。曲・詞ともに一二三さん。

 

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「嘘をつくな」「他人を傷つけるな」と言っておきながら、

自分たち自身は、誰かのウワサ話や悪口を言っている大人たち。

 

矛盾した「しつけ」に違和感だけがふくれあがって、

私のなかにも醜い感情がだんだん湧き上がってきてしまいます。

 

「バレなかったら・・・」「自分さえイジメられなければ・・・」

 

このままだとそうやって大人になってしまいそう。

というか、大人ってそういうものなんだろうか。

 

「しつけ」という名の矛盾したルールから逃れたくて、

いっそ電車に飛びこもうかともするのですが、

けっきょく彼女は、駅のホームの白線さえも越えることができずにいました。

 

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大人たちだってはっきり答えが分かっているわけじゃないのに、

「しつけ」と称して、私たちの未来(答え)を押し付けてくる。

 

それで、彼女はそんな押しつけの未来から脱出しようと、

駅の白線を越えて、飛び降り自殺しようとしたのかもしれません。

 

でもおもしろいことに、彼女は止めたのでした。

 

ホームの白線を越え、電車にはねられたら、

彼女の人生は終わり――そんなのあたりまえじゃないですか?

 

ルールを破るのは、「思いもよらない未来」に出会いたいからであって、

ルール(白線)を破って電車にはねられても全然、意外じゃありません。

 

そこにうっすらと気付いたようにして終わっていくところに、

彼女の未来の光が少しだけ見える気がするんです。