~ 歌詞でよむ初音ミク 184 ~ 口を衝く
いつでも言葉が解決してくれるわけじゃない
かなり複雑に組み立てられているお洒落な曲ですが、すごく聴き心地の良いメロディーメーカーでもあります。 曲・詞ともに、あ子さんです。
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「心さえあれば」いい、
「あなた」の気持ちさえ離れなければいい。
そんな強がりを言ってしまった「あたし」。
「平静」を装って、「恭順」なフリをして、
あなたのことを「信じてい」たかった。
でもそれは「叶わない」のでした。
「孤独」で「裂傷」は広がるばかり。
残されたことは「愛を確かめるふり」を続けるだけ。
こんなこと、「あなた」も「あたし」も、
間違いだって「知っていた癖に」。
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「口を衝く(つく)」の意味は、
「思わず言ってしまう」ということです。
言わなくていい事、言う必要のない事を、
それでも言ってしまう、言わずにはいられなかった...という有り様。
さて歌詞のなかで、彼女の口からは、
行き場のない孤独や痛みが「結晶」となって、
「ずるいや」という一言がこぼれます。
ところが、
この言葉は何も解決してくれません。
まさにタイトルどおりです。
曲中の彼女は、
歌ってもどうにもならないことを歌ってしまっているのであって、
言葉や歌詞が、いつでも何かを解決してくれるわけではありません。
口を衝いて出てしまった宙ぶらりんの言葉、
その哀しさ、虚しさを感じてみるのもいいと思うのです。