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~ 歌詞でよむ初音ミク 141 ~ 川沿い

そうやって生きることは、死ぬこと

「VOCAROCK」タグ。静かに始まって、とつぜん感情が爆発する展開に圧倒される作品。感情を抑制するミクさんと、人間的なGUMIちゃんの対比も素敵で、だからこそグロウルで壊れそうに叫ぶサビのミクさんには胸を打たれます。曲・詞ともにアキさん。

 

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「終電で帰った深夜0時過ぎ」のこと。

 

一人、とぼとぼと「川沿い」を歩きながら、

「僕」は考えていました。

 

「描いた夢」を「描いたことすら忘れてた」。

もんもんとした気持ちのなかで、「後ろめたくなった」のでした。

 

「生きるか死ぬかの世界」とはちがって、

「簡単に生きてた」、「単純に生きてた」。

 

「このまま何もしなくたって」、別に生きていける。

勝手に時間は過ぎていく。

 

でも・・・「どうする」?

 

けっきょく「身勝手な 勝手な」「やってないことだらけの人生」でした。

「今の状況」は「僕の想像していたもの」とは「かけはなれてた」のです。

 

・・・「どうしよう」。

 

誰もいない深夜の川沿いが、

「やけにキレイ」でした。

 

――いいや、「死にたくはない」!

 

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正直に告白すると、

どうして「川沿い」が生の衝動につながったのか、わたしには分かりません。

 

というか、

ロジカルじゃないから、「衝動」と言えるのかもしれません。

 

ですが、理屈ではないこの「衝動」を、

この曲は不粋に説明することはせずに “表現” しているような気がします。

 

それはサビの矛盾した叫びです。

 

――安逸に、「単純に」「簡単に」生きるということは、

ある意味で “死んでいる” ようなものじゃないか?――

 

(簡単に)生きることは死ぬこと、

というこの矛盾表現(=オクシモロン)には、

モタモタした論理的説明ではコントロールしきれない “勢い” があります。

 

とつぜん彼の胸ぐらを無理やりつかんだ「死にたくはない!」という生の衝動は、

この “勢い” のようなものによって、常識的で論理的な言葉づかいをはみ出してしまったのではないでしょうか。

 

ほとばしる生の衝動をストレートに、シンプルに爆発させている

と考える人もいるかもしれませんが、わたしはそんなふうな魅力も感じたのでした。

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