~ 歌詞でよむ初音ミク 190 ~ 00

失われては始まっていく無限(∞)

アンダーグラウンドなのにポップでもある音楽と歌詞。不気味だけどピュアさも混じりあった、唯一無二のミクさんの和声も聴きどころです。曲・詞ともにPuhyunecoさん。

 

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「きみ」は死にました。

それが「初恋」だと気づいたのは、「死んだ後」のこと。

 

いまは「花になって」「窓際」を飾っています。

 

「放課後には きみへ手紙を書こうか」

とも思ってみても、

 

「死んだ後できみが好きなんて 伝えても遅い」のです。

 

「駅で1人きり泣いていた」「僕」は、

「悲しくて」「ぐちゃぐちゃ」になっていき、

 

「透明な翼になろう」と思い始めるのでした。

 

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「僕」にまとわりついているのは

どうやら "手遅れ" という感覚です。

 

「初恋」、「流れ星」、「朝」・・・、

いつも完全な状態が失われてからし

「気づく」ことができないという 「悲しみ」「切なさ」。

 

"遅れてしまった" 

"取り残されてしまった" というテーマが繰り返されます。

 

ですが、

それって本当にただ "手遅れ" になって失われた、

・・・だけなのでしょうか?

 

じつは「僕」自身も気づいていないうちに、

 

「きみ」は「窓際の花」に、

「夜」は「空の青」や「茜空」に、

そして「僕」は「わたし」に、しかも「透明な翼」に、

 

ゆっくりと変化、移行しているのではないでしょうか。

 

"遅れてしまった" からこそ、

別のかたちに転移して引き継がれていくわけで、

 

ラストにミクさんの声が歪み、

「透明な翼」へと転生していこうとするさまは、

 

なんだか無限(00=∞)の流転のなかで、

生成変化していく世界の一部とすら思えてくるのでした。