~ 歌詞でよむ初音ミク 191 ~ トゥルーブルー
汚されてピュアになっていく
アニメのEDのような爽やかで切ない余韻を残すポップス。さっぱりした後味だけど、歌詞には謎がのこる不思議な作品です。曲・詞はヘンドリックスSS(MEDO&BLACKHEART_jp)さん。
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ステージの上が「わたしの居場所」。
「きょとんと首傾げ 笑顔で手を振れば」
「歓声が待っているの」。
だけど夢にまで見た「この世界」は、
ものすごく「孤独」で「呼吸することも」できません。
「いろんなTrap」が溢れてて、
大人だけじゃなくすべてが「信じられない」。
たとえ「わたし宛てのレター」に
「救われた気」がしたとしてもけっきょく、
「センチメンタルじゃいられない」し、
「イノセンスだけじゃ生きれない」のです。
うそをついてごめんね、と呟く彼女の「真実」は
「誰にもいえない」「残酷な色のトゥルーブルー」だったのでした。
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何があったんだろうと思わせる
ほのかなサスペンスです。
ふつうこういった内容は、
“汚れてしまうことに苦しむピュアな少女” の声か、
“完全に汚れてしまったアダルトな魅力の悪女” の声か、
だと思うのですが、
ここでのミクさんは、
汚れてしまったと言いながら
空を突き抜けるブルーのような、人間ばなれした透明さを感じさせます。
(たしかに人ではないアイドルですし)
それってつまり、
彼女がこの仕事に徹底的にトゥルーブルー(忠実)である(あってしまう)、
というまったく新しい悲哀だったりするのかもしれません。
そのへんのアイドルとはちがう、
そんないびつな姿を思い浮かべてみるのも良いのではないでしょうか。