~ 歌詞でよむ初音ミク 193 ~ 想い出箱

がらくたの記憶が詰まった部屋

お洒落なfuture系で、かわいくてポップな "病み" ソング。メタ視点ではなくミクさんと同じ登場人物のように寄り添うコーラスのResetさんも素敵です。曲・詞ともにンチャPさん。

 

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「ぽつぽつ雨降り」の日。

せっかくのお休みなのですが、

部屋のなかで空虚な記憶を「ちぎっては投げて」の繰り返し。

 

まるで「想い出箱」をひっくり返したような

「がらくただらけのこの場所」。

 

だけど見つかるのは「君の抜け殻」ばかりでした。

 

それでもずっと探しているのです。

気が遠くなるほど長く。

 

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「この部屋」が、まるで「想い出箱」みたいになってしまうという

ちょっとユーモラスな比喩からはじまるこの曲。

 

ところが、

休日の、まったりした日常風景かと思いきや、

想い出をひっくり返して「君」を探すという虚ろな光景に変わっていきます。

 

この部屋には、

「君」と想い出がいっぱい詰まっていたのかもしれません。

 

探しても探しても、出てくるのは「君の抜け殻」だけ。

つまり魂の入っていない表面的な映像や音の「がらくた」ばっかり。

 

そんなものを断片的に取り出してみても、

本物じゃないから、記憶でしかないから、君は答えてくれません。

 

だから(叶うはずのない)返答を求めて、

記憶をちぎりとってみては投げ捨てているのではないでしょうか。

 

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ところで、気になるのは「飽きてしまうその前に」という一節。

悩んでいるほうだって飽きるかもしれない、という面白いフレーズです。

 

個人的には、

コーラスに入っている綺麗な声のResetさんが、

一部だけソロで歌っているパートがあるのですが、

 

もしかしたら傷心の虚ろな彼女(ミクさん)だって、

少しずつ脱皮しつつある(Resetさん)のかも、なんて思ったり。